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目を開けば視界いっぱいに広がる愛しの彼。
私が目を覚ましたことに気が付いたのか優しげに微笑み私の背中に回していた両腕に力を入れ強く、けれど優しく私を抱き締める。
「おはよう」
彼も私同様寝起きなのか、少し擦れた声で言う。
その声を聞きながら、私は彼に微笑み掛け、勢い良く鳩尾に拳を叩きつけた。
「おはよう」
床で悶絶している彼にできるだけ優しい声で朝の挨拶をすませ、顔を洗いに洗面所まで歩いて行った。
全く。この糞暑い朝っぱらに抱きついてくるなんてどういう神経してるのかしら。
顔を洗い終えた私を懲りずに抱き締めてくる彼の横顔を盗み見れば何時ものごとく幸せそうで。
そんな顔をしながら私がどこにも逃げられないように手錠よりも強い力で私をがっちり捕まえているのだから彼はなかなか侮れない人だな、と未だ寝呆けた頭でぼんやり考えていた。
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