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AM10:12
彼は所用とやらで今家にいない。
さて、どうしたものか。
取り敢えず脱出するとしたら、まずこの左手首にくっついている今や違和感が消え失せた手錠をなんとかしなくてはならない。
でもヘアピンはないし、この部屋にヘアピンの代替品も特にない……、否、まだ調べていない箇所があった。
私がプレゼントした品々がしまわれてある単笥の一画。
もしかしたら私があげた物以外の品が入ってるかもしれない。
私は込み上げる羞恥心を押さえ引き出しの取っ手に手を掛けた。
結論だけ言えば、ヘアピンの代替品どころかヘアピンそのものがあった。
そして羞恥心で悶えそうになることを言えば、そう広くもない引き出しの中は私が渡したプレゼント、そして私との思い出の品々が所狭しと収まっていた。
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