0.

2/3
前へ
/1000ページ
次へ
これからの門出を祝う。 そんな天気ではなくて。冷たい雨がしとしとと降り、ほどけかけた桜のつぼみが水を含んで頭を垂れている。 昨日までの陽気は何処へ行ってしまったのだろう? そっと桜に手を伸ばすと、涙をこぼすようにポタリと雫が左の頬に落ちた。 「あ……」 手のひらで拭おうとすると、何故か右の頬まで濡れている。 「私……泣いてたんだ」 そこで気が付く。 自分が泣いていた事に。
/1000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5811人が本棚に入れています
本棚に追加