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クラスの笑い声とは反対に、自分の表情が固くなっていくのが分かる。 「先生……すみませんでした」 ぼそっと謝ると、どうしようもない事ばかり書いたノートを覗き込みながらこれ見よがしにため息を吐かれた。 「数学の授業は終わったから。誰かにノートを借りなさい」 ポンと大きな手が私の頭に触れた。 離れていく先生の気配に益々下を向きじっとしていると、後ろの席の安倍穂波(アベホナミ)が声をかけてきた。 「夏芽、いいなぁ。由季(ユキ)先生に触って貰えて。 何で先生が嫌いなのか穂波にはさっぱり理解できないよ」 鼻の下にシャープペンを挟みながら言う穂波のノートには、『こうさかゆきLOVE』とか、相合い傘の下に『由季・穂波』とか…………。
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