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………。
暖かいものが頬に触れる。ここ、は…
あの世?
『………きて』
ほら、誰かが呼んでいる…
『……ぉ…きて』
おきて?だって俺は死んだんじゃ…
「起きろーーーーっ!!」
耳元で巨大な声が響く。
「うわぁぁっ!!?」
思わずガバリと起き上がる。
「あ、起きたっ♪兄ちゃん、起きたよ~!」
「起きたっ♪じゃないだろう。ああ、耳が痛い…」
「あ、ごめんねぇ。3日も寝てたから…」
『兄ちゃん』と呼ばれた男の子が入ってくる。
「よかった。目が覚めたんですね」
「ああ。おかげさまでな」
隣にいる女の子に目をやると、女の子は「てへへ~」と笑った。
「ここは…」
「ここは、山の神を祭った神社です。貴方が倒れているのを見つけてここに運び込んだのです」
「あたしたちに感謝してよっ」
兄妹らしき子供たちを改めて見る。11歳ぐらいの兄と7歳ぐらいの妹。
こんな小さな子供二人で大人の俺を運べるのだろうか…?
「ほっほ…目が覚めましたかの」
奥から、今度は100歳を越えているのではないかと思われるお爺さんが入ってきた。
「あ、神主様だっ!」
「はい。先ほど、目を覚まされました」
「儂がこの神社の神主をやっておる者じゃ」
「はぁ…よ、よろしくお願いします…」
「目が覚めたようじゃな。ほれ、これを着なさい」
差し出された服を着る。
麻だか綿だかわからないが、かなり丈夫そうである。
「ありがとうございます」
「構うことはない。そなたは結構な傷を負っておったのだぞ」
はっとしたように頭に手を当てる。
そこには包帯が丁寧に巻かれていた。
「頭がぱっくりと割れとった。手当にも時間がかかったわい」
いやはや疲れた疲れた、とぼやくお爺さんに男が慌てて聞く。
「今日は何日ですか!?年は明けてしまいましたか!?」
「今日か?今日は…何日じゃったっけ?」
「今日は年が暮れる日。大つごもりの日です。」
すかさず男の子が答える。
「大つごもり…!そんな……」
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