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「……今時ジュースの回し飲みくらいでそこまで反応するかね」
帰り道。
午後5時を過ぎてもまだ青い初夏の空を眺めながら、凜子と二人並んで歩く。
「いやぁ別に反応してるとかそんなんじゃモゴモゴ」
そうだ別にジュースくらいどーってことナイ。
ただほら、最近アレだ、思春期なワケだし昨日のドラマなんて中学生なのにもう初キスとかどうとか……
「ま、彼氏いない歴=年齢のお子ちゃまだからしょうがないか」
「う…」
ええ、ええ、そうですとも。
「それどころか初恋もまだっていうね」
それに比べ隣で長く艶やかな黒髪を揺らして笑う凜子は、東大生の彼氏が居るやら青年実業家の許婚やら石油王の愛人やらいろんな噂が飛び交っているがなるほど、それもうなづける程大人っぽい美人だ。
つーかどうしてこうもあたしの周りには美形が多いんだろう。
あの双子ですら、背こそ低めなものの、可愛い顔をしてると先輩方に人気絶大らしい。
「初恋もまだ、ねぇ」
へ?
「何?」
目をパチクリさせるあたしを、凜子の長い睫毛に縁取られたアーモンド型の瞳が覗き込む。
……
「ほんっと聖羅は面白い」
だから何がっ?
ニッと笑うとまた凜子はスタスタと歩き始めた。
「ちょ……待ってよ~」
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