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シンとした廊下はなんとも居心地が悪い。
授業中ってこんな静かだっけかな。
空気の読めない上履きが、ペタペタと間抜けな音を立てる。
中庭に面した1階の渡り廊下は、壁もないのに今日は何故か薄暗く、煌々と輝く自販機の明かりだけが浮き上がって見えた。
さっさと買って帰ろ。
ポケットの小銭を取り出そうと手を突っ込む……と
チャリン
「あ…」
器用に縦になってヨロヨロ進む100円玉は、自販機の下に吸い込まれていった。
「えぇぇ!まじ……」
っと、いけない。静かな空間に響いた自分の声を途中からぐっと飲み込む。
なんだこれツイてない……
妙に気疲れして、ふぅ、と息が零れ出た。
辺りをキョロキョロと見回してみる。
誰も、いないな……
あたしはその場にしゃがみ込むと、そーっと生暖かい自販機の下を覗きこんだ。
「…ふひっ!」
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