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アンコール!
アンコール!!
会場からは
そんな嬉しい声が鳴り響く。
行かなくちゃ、
俺を呼んでる。
情けなくて頼りなくて
どうしようもない俺なのに。
求めてくれる、
望んでくれる。
だから・・早く・・!
「リュウガくん、
・・のど、大丈夫?」
・・え?
少し低い声が
焦っていた自分の気持ちに
ブレーキをかける。
「いや・・あの。
なんか声がつらそうだなって所
何箇所かあったから。
次、アコースティックだし。
明らかにわかるし。」
黒髪の彼は
耳たぶの後ろを触りながら
遠慮がちにそう言った。
・・彼の癖。
その言葉に集中してない証拠。
気を使ってくれてるのが
すっごく伝わってくる。
そういう人間性が大好きだから
こうやって一緒にバンド
組めてるんだろうな・・
「あ!リュウガさん!
いつものです!」
そういったやり取りを聞いていたのか
急いでマネージャーの美佐子が
リュウガ専用のハーブ・ティーを
差し出した。
さんきゅ、
俺は受け取る。
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