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*3 幹部
「もう、出てきても良いぞ……」
魔王は軽く伸びをし、少女に合図を送る。
少女は黙って、玉座の裏からひょこっと顔を出した。
「なーにをそんなに恐れておる」
「さて……では、先程の話の続き、だが……」
魔王が玉座の方を向いたその時―――
「"ドルマーレ"!」
破壊された扉の裏から、雷を纏った巨大な鉛球のような黒球が飛んできた。
魔王は完全に不意をつかれ、自身の背後に迫る黒球に対し、防御結界を張ろうとしていた。
しかし、いくら魔王といえども、不意をつかれたわけで―――
「くっ、間に合わんか……!」
魔王が黒球の直撃を覚悟した瞬間、
「"鬼断"(キダン)」
煌めく刃。
その長い刀身は、蒼い炎のように、ゆらめいていた。
黒球は真っ二つ、その場で爆発した。
爆風が流れたその先、煙の中に見える人物―――
「少女……!」
玉座の裏にいたはずの、少女だった。
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