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その右手には、"抜けなかったはずの刀"が握られている。
「お主は……」
と魔王が言おうとした時、
バタッ
少女は倒れた。
「……」
バッと手を振りかざし、扉の方へ火球を放った。
スタ、スタ、と倒れる少女にかけよる魔王。
そっと抱き抱える。
少女の額には、うっすらと三角形のような紋様が刻まれていた。
「やはり……これは……」
呟く魔王の綺麗な顔は、どこか切なそうで―――
「"鬼"…か……だとするとあの刀は……」
「……」
魔王は少女を抱き抱えたまま刀と鞘を拾い上げ、魔王の間を後にした。
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