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小鳥のさえずりが朝を告げる。
最も、さえずっているのは魔物の鳥だが。
「ん……」
魔王は、あのまま、玉座で眠っていた。
勿論、フルーラも―――
「いない?」
見当たらない。
魔王に身を預け、すやすやと眠っていたはずなのに―――
「どこに行ったのだ……」
困惑する魔王。
いくら幹部達に伝えたとはいえ、人間に恨みを持つ魔物達も少なくはない。
それはつまり―――
「(まずいな……)」
フルーラが興味本意でこの魔王城をうろつき回っていると仮定すると、非常にまずい。
「(……)」
魔王はすぐさま探索結界を魔王城全体に広げた。
その結界の範囲に入ると、"今、なにをしているのか"、"どこにいるのか"が瞬時にわかってしまうという優れものだ。
「(……)」
意識を、張り巡らせる。
広場はもちろん、庭園、武器庫、屋上に至るまで、考えうる限りの場所を。
「(……!)」
数分にのぼる探索の結果、ついにフルーラを見つけた。
「(ここは……)」
そこには、調理室でシチューをモグモグと食い漁るフルーラの姿があった。
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