*4 理由

5/7
前へ
/20ページ
次へ
小鳥のさえずりが朝を告げる。 最も、さえずっているのは魔物の鳥だが。 「ん……」 魔王は、あのまま、玉座で眠っていた。 勿論、フルーラも――― 「いない?」 見当たらない。 魔王に身を預け、すやすやと眠っていたはずなのに――― 「どこに行ったのだ……」 困惑する魔王。 いくら幹部達に伝えたとはいえ、人間に恨みを持つ魔物達も少なくはない。 それはつまり――― 「(まずいな……)」 フルーラが興味本意でこの魔王城をうろつき回っていると仮定すると、非常にまずい。 「(……)」 魔王はすぐさま探索結界を魔王城全体に広げた。 その結界の範囲に入ると、"今、なにをしているのか"、"どこにいるのか"が瞬時にわかってしまうという優れものだ。 「(……)」 意識を、張り巡らせる。 広場はもちろん、庭園、武器庫、屋上に至るまで、考えうる限りの場所を。 「(……!)」 数分にのぼる探索の結果、ついにフルーラを見つけた。 「(ここは……)」 そこには、調理室でシチューをモグモグと食い漁るフルーラの姿があった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加