*4 理由

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「んー……」 フルーラは目を覚ます。 魔王の体の上で。 「(あ……そっか、私、寝て……)」 ぐきゅるるるるる~ フルーラの中の腹の虫が盛大な鳴き声をあげる。 「う~」 フルーラは顔が真っ赤だ。 お腹に手を当てて、必死に鳴き声を抑えようと試みる。 が、 ぐぎゅゅるるるる~ 止まない。 「(駄目だ、意地張って何にも食べ物食べなかったけど……もう駄目だ)」 フルーラはふらふらと歩き出し、食材を求めてさ迷った。 「おい、あれ……」ヒソヒソ 「魔王様が拐ったっていう人間か……?」ヒソヒソ 道中首が無い剣士と槍を持った半魚人のような魔物がフルーラを発見したが、フルーラの目には最早映っていなかった。 「(おなか……すいた……)」 ふと、目の前にある扉から、匂い。 甘い、香り。 「(……)」 ガチャ フルーラは扉を開けた。 そこには、鍋や食器が並んでいた。 人―――もとい魔物は一匹もいない。 一つだけ、火にかけられた鍋があった。 フルーラは近付く。 甘い香りは、鍋に近付く程強くなっていて。 フルーラは、もう食べ物の事しか頭に無かった。 躊躇無く、フルーラは鍋の蓋を開ける。 シチュー。 そこには、何の変鉄も無い正真正銘のシチューがあった。 だが、フルーラの目にはご馳走にしか見えなかったのだろう、先程から涎がダラダラとこぼれている。 「ごはんんんんんんん!」 正直、意地を張って魔王から出されるご飯を拒否していた頃は、とても辛かったのだろう。 その辛さが、今ここで弾ける――― 驚くべき速度で食器棚から皿とスプーンを拝借し、皿にシチューを盛り付けるフルーラ。 一体どこにそんな体力があったというのだろうか……。 「いっただきまぁぁぁあす!」 満面の笑みで手を合わせるフルーラ。 食材をスプーンですくい、口に入れる――― 瞬間、フルーラは魔王の間にいた。
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