*1 キリス町襲撃

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ガタッ!と突如ゴミ箱が揺れた。 「!?」 ガーゴイルが素早く剣を構える。 「よい、剣を下げろ」 「しかし……」 戸惑うガーゴイル。 「下げろ、と言った」 「ハッ!」 三回目は無い、とガーゴイルは悟った。 「……」 魔王はゴミ箱の前に立ち、パチン!と指を鳴らした。 瞬間、ゴミ箱だけが消え、中に入っていた『何か』が地面に転がった。 「……」 転がったのは、少女だった。 金髪の赤いワンピースを着た幼い少女。 「!!」 ガーゴイルはただ驚いている。 「いった……」 少女はゆっくりと立ち上がった。 「ひゃっ!!?」 目の前には、魔物。 腰に着けていた刀を抜いて、両手で構えた。 「お、お、お前!誰だ!」 切っ先は、震えている。 「……私、か。魔王だ」 「ま……」 目の前の魔物の口から放たれた言葉に目を見開き、そして――― 「やあああ!」 斬りかかった。 「たぁっ!」 「……」 魔王は動かなかった。 少女の刃が魔王にぶつかっても、傷一つついてはいない。 「……!」 しかし、魔王は驚いていた。 「(私を斬っても折れないだと……?)」 魔王は、自身に強力な防御結界を張っている。 斬りかかっても、そこらの剣や刀では、難なく折られるのが関の山だ。 関の山、のはずが…… 「!?何で斬れないの……」 少女は少女で、防御結界の事など知らず困惑していた。
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