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その魔王の間に、幼き少女と、魔王がいた。
「……まったく、お主は……」
玉座に座っている魔王は、深い溜め息をついた。
キリス町襲撃から3日、魔王は少女をこの魔王城に連れてきた……のはいいが、食事に全く口をつけないのだ。
健康の方は魔王の魔法でどうとでもなるが、痩せこけた少女の顔はみるに耐えないものとなっていた。
「……」
「何も虫や魔物を食えとは言っておらんだろうに……」
朝昼晩に出される食事は、至って普通の牛肉などだ。
にもかかわらず、少女は食事に手をつけない。
「……ま、いい。食事は食うも食わぬも自由だ。……だが」
魔王は一呼吸入れて、少女に質問をした。
「この刀、どこで手にいれた?」
キリス町襲撃の際に、少女が帯刀していた刀。
魔物を殺す可能性もあるので、あの刀は魔王が剥奪していた。
「この刀……どういうわけか全く抜けんのだよ……、力自慢のギガトロールでさえ無理だった」
何かが引っ掛かってる等の物理的なトラブルでは無く、どう抜こうとしてもビクともしないのだ。
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