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その言葉を聞いて俺は確信した。
ああ、この人から離れることなんて、きっとできないんだろうな。って。
きっと。って言ったのは雨埜さんはあんな事を言っておきながら、俺を縛り付けるようなことは絶対にしないから。
だから、もしも。もしも、俺に雨埜さん以外の好きな人ができたら、彼は俺を手放すのだろう。
人一倍優しいのに、人一倍繊細。
何時も、自分のことは後回し。他人の心配ばっかりして…。
それで、毎回自分を責める。
傷付くのは決まって貴方。
でも、そんな雨埜さんを俺は………。
なんて事を考えていられるのもほんの一瞬で。
熱っぽい瞳と目が合えば、またすぐ雨埜さんの舌が滑り込んで来る。
さっきよりも激しさを増した口づけに息が上がっていく。
『あっ、…ふぅっ……っぁ』
雨埜さんの舌が歯列をなぞり、舌を甘噛みされる。
『…っぅ、ぁふ…ぁっ、』
その感覚に思わずぞくぞくする。
部屋には雨埜さんと舌を絡ませ合う淫靡な音が響いている。
これからっていう時に雨埜さんの唇が離れていってしまった。
激しい口づけに息が上がり、頬の上気した俺を見て、雨埜さんは満足げな笑みを浮かべて部屋を出て行った。
残された俺はというと、………………。
『“これ゛どうしたらいいんだろう?』
―――――――
『愛してる』なんて、絶対に言ってあげない。
だって、あなたには何時でも全身で愛を伝えているでしょ?
だから、貴方も全身で、何時までも『愛してる』を俺に伝え続けて。
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