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「大丈夫よ、一晩いくらかしら?」
「泊まりだけなら一人、銀二枚、食事付きなら一食銅三枚上乗せだよ」
珠来の通貨は下から銅・銀・金の三種類。
硬貨で銅十枚で銀が一枚、銀が十枚で金一枚となる。
ここ砂峯の宿屋の料金は一泊銀一枚から二枚が主流で大抵は食事付き、別料金となると少し上級な宿屋になる。
「じゃぁ、夕食だけ付けて、一休みしたら食べるわ」
「はい、毎度あり。案内するよ」
宿屋は入り口を入ると机が並び、食堂になっている。真ん中の通路を奥に行き、引き戸を開けると広間、さらにその奥は宿泊の部屋が並んでいる。
階段を上がり、突き当たった部屋に通された。
「普通の二人部屋より少しは大きめだよ。寝台は二つしかないが、後で布団を多めに持ってくるからそれを使うと良い」
部屋の説明をすると鍵を渡し、部屋を出て行った。
部屋の窓は街道沿いに面していて道行く人々の雑踏が聞こえてくる。
部屋には窓を挟んで壁に取り付けられた寝台が二つ、中央に机と椅子があり、壁側には上品な調度品が置かれている。
「なぁ、おいらそんなにたくさん金ねぇよ?」
寝台の上に腰を降ろし、落ち着かない様子で周りを見渡していた。
「心配しないで、私達は1週間ぶりの宿なのよ。たまには贅沢しないとね」
珠都を出てからひたすらにここまで来た。
途中にも宿はあったが、少しでも時間が惜しく、目的地への分岐点まで急いだ。
荷物を置き、宿の地下にある大浴場へ向かった。
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