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―3年前― 私は上京したてで 右も左もわからないまま 新しい環境、新しい仕事に追われ 毎日が必死だった。 友達がいるわけでもなく ストレスは溜まる一方。 でもどこでどうやって ストレスを発散させればいいか 私は限界を超え、 既に誰もいない会社で 1人泣いていた。 ―ガタン― え…? 誰かいるの? 『あ…ごめん… 俺資料忘れちゃってさ… はは、馬鹿だよね。』 その人は 私の泣き顔について触れず にこやかに話しかけてくる。 『えっと…吉永美樹さん…だよね?俺中田健!健康の健って書いてつよしって言うんだ!』 私は、はっとして 袖で涙を拭った。 『あ、私の名前知ってたんだ…』 『ん?ぁあ。入社した時綺麗な人だなぁって思ってたから。』 ニコッと笑いデスクにある 資料をまとめている。 き、綺麗って… 私は瞬時に顔が赤くなり うつむいた。 『あ!やましい意味じゃなくて、素直にそう思っただけだからね!』 と、あたふたしている。 『ぷ…。』 私はその様子に つい吹き出してしまった。
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