パンケーキ

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ようやく御徒町とらやに到着した頃、あまりの人の多さに意識が朦朧とした。 「どこへ向かえば…」 極度の緊張と人ごみ、土地勘の無さが私を正しい解答から遠ざける。 後で思うことだが…なぜ私はこの時におねーちゃんに連絡しなかったのだろう… ふらふらと宙を低空飛行するようにメモを握ったままさ迷う。 「…スナックみのり…スナックみのり…スナックみのり」 上の空…朦朧とした足取りの中、ブツブツと復読を繰り返した。 「おぉ、スナックみのりをお探しか?」 霧がかる眼に老人が首部を垂れたような腰で微笑んでいる。 「スナックみのりはもうないでの。」 「えっ!?」 シャボン玉が目の前でパチンと弾けたような軽い衝撃があったような… 不意に我に返った。
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