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1人の青年が大勢の青年達に囲まれていた。
しかも、囲んでいる男たちは色んな色の髪をしていて、ガラが悪そうである。
雨音はその光景を物影で見ていて、特に恐怖心は抱かなかったがハラハラと落ち着かない様子であった。
そして、囲まれている青年が口を開くと、戦いの火蓋が切って落とされた。
「すごい…。」
まるで舞のように攻撃を避け、流れに任せるように攻撃を繰り出す彼に、雨音は自分がなぜここを通っているかも忘れ、ただひたすらに魅入っていた。
だが、すぐにそれも遮断されることとなる。
「…!?」
大勢の男達に囲まれた青年の上に、大きな廃材が迫ってきていたのだ。
最悪なことに、青年は目の前の敵で手一杯なせいか、自分へと向かってくる廃材に気付いていなかった。
「…っ、危ない…!!」
ランドセルを投げ捨て、これまでにこんなに速く走ったことがあっただろうかと思うほど、雨音はその小さな足を動かした。
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