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幸い、雨音は身長が小柄であるせいか、男たちの間をするすると通り抜けることができた。
そして目的の人物の服を掴むとそのまま力いっぱいひっぱった。
「!?」
青年はびっくりして、雨音にひっぱられるがままに倒れた。
と同時に、間一髪、廃材が足元へガラガラと崩れ落ちた。
「…こっち…です。」
そのまま青年の手を掴むとタッと駆け出した。
…が、呆気にとられていた青年が、すぐにハッとし、今度は逆に雨音がひっぱられる番となった。
言わずもがな、コンパスの長さと運動神経の差である。
「逃げたぞっ!!」
廃材に気をとられていた男たちは、ようやく青年が逃げ出したことに気付いたようである。
「ちっ…。」
青年は舌打ちして、雨音を抱えて全力で路地を駆け抜けた。
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