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青年side
全力疾走を続ける俺…櫻井空哉の制服がくいっくいっとひっぱられた。
「もう追ってません…。」
抱きかかえた少女がそう言って後ろを見る。
大体、こいつは誰なんだ?
つい条件反射で連れて来ちまったが…。
「おい、降ろすぞ。」
「…ありがとうございます。」
素直に俺の腕から降りる少女に怯えや恐れはない。
自分で言うのもなんだが、俺は目つきが悪い方(というか確実に悪い)だし、先程の喧嘩を見ていたならば恐がっても不思議はない。
というより、少女は見たところ小学3~4年といったところだ。
むしろ恐がらないほうがおかしい。
「助けてくれてありがとうございました。速く走れないので……。」
恐がる様子もなく、しっかりと目を見つめてそう言い切る少女に、なぜか好感を抱いた。
「別に…。むしろ助けてもらったのは俺のほうだ。サンキューな。」
おそらくここにいつもの連中がいたなら、『空哉がお礼だ…と…!?』やらなんやらうるさかっただろう。
それほど今日の俺はおかしかった。
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