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「怪我…。」
俺の手元をじっと見る少女は痛そうな顔をしている。
(どっか怪我したのか…?)
そう思って、尋ねようとすると、少女は自分の肩に手を伸ばして、少し目を見開いた。
「あ…。」
そう呟いて、もう一度先程の路地に逆戻りしようとする少女を、俺は急いで止める。
「待て…!!どこ行く気だ。」
少女は首を傾げ、どこかおかしかったかと言わんばかりの目をしていた。
「ランドセルを忘れました。」
だから取りに行くとでも言いたいのか、またしてもクルリと路地へ体を向ける。
俺はため息をついて、少女の頭に手を置いた。
「ここで待ってろ。」
今日の俺はつくづく俺らしくない。
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