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雨音side
行ってしまった…。
先程、お兄さんが手を怪我していることに気付いた私は、もう一つ重要なことに気づいた。
肩が異様に軽かったのだ。
ハンカチを取り出そうとしてランドセルに手をかけようと、肩に触れたが、そこにあるはずの荷物はなかった。
そこでようやく、路地にランドセルを投げ捨てたことを思い出し、取りに戻ろうとしたのだ。
するとなぜかお兄さんに止められてしまい、結果、怪我をしている当人に取りに行かせてしまったのだった。
「これぞ本末転倒…。」
「お?おじょーさん、難しい言葉知ってんねー!!」
「…。」
…びっくりした。
振り向けば髪の毛が明るい栗毛色をしたお兄さんがニコニコ笑って立っていた。
「あり?無表情のまんま固まっちゃった。びっくりさせちゃったかな~?ごめんね。」
とても気さくなお兄さんだった。
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