プロローグ

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 そして噂が流れてから3ヶ月が経った――――…… 「――――い……優衣ったら!」 「んっ……あれ、咲?」 「んもぅ……そろそろホテルに着くってのに優衣ったら中々起きないんだもん」  移動中のバスの中で眠っていた女子高生を、隣に座っていた別の女子高生が起こした。  眠っていた女子高生が大きく背伸びをすると、先ほどまで見ていた夢について考え始める。 (私、何でお姉ちゃんが死んだ時の夢なんか見たんだろ……でも、あの日雨の中にいた人、誰だったっけ……)  女子高生が考え事をしていると、一番前の席に座っていた担任の先生が立ち上がり皆に話しかける。 「よーし、皆そろそろホテルに着くから降りる準備しろよー!」 「ほーら優衣、何辛気くさい顔をしてんのよ? 今日は待ちに待った修学旅行なんだから楽しまないと!」 「……うん、そうだね咲!」  女子高生の隣に座っている親友に笑顔でそう言われ、女子高生は考え事を辞める。 (そうだ、今日から修学旅行……いっぱい楽しんで思い出作らないと!)  女子高生は心の中でそう誓うが、しかし彼女は……いや、今ここにいる皆が考えもしなかっただろう……この学校生活の一番楽しみな行事……修学旅行が――――……  恐怖の惨劇の幕開けになろうとは――――……
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