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俺は友佳の目の前に立った。友佳は本を読んでいたが、立ちはだかる俺に気付いて、いや、友佳のことだから気付いたのではなく偶然かも知れないが、とにかく顔を上げた。
「おはよう」
友佳はそう言った。
「ああ、おはよう」
俺は返した。
「今日の天気はなんだ?」
とりあえず、そう言ってみる。
「窓を見ればわかるだろう」
友佳は本に視線を戻しながら言う。
「おまえ、なんで魔法少女やってるの?」
さりげなく聞いた。
「バイト」
友佳は文字を追いながら答える。
そっかー。魔法少女がアルバイトな時代が来たのですね。そろそろ、巨大ロボのパイロットもアルバイターがやるのかもね。
「いつからやってるのさ」
「今月初め」
「最近じゃん」
「そう」
「時給何円?」
「一回の出動で5500円」
魔法少女のバイトの相場なんて知らん。だから、高いのか安いのか判断できん。でも命の危険もあるだろうに、安すぎないか?
「危ない仕事だろ?」
「いや」
友佳はページから目を離した。俺を見上げる。
「正直、ダルい。やつら弱いし、ボスとメル友だし」
理解できない。俺は友佳から目をそらすため、腕時計を見た。あ、そろそろ担任が入ってくる時間だな。席に戻ろうかな。
「話はまた後にしよう」
友佳が言った。今は時間が無いもんな。
「ああ、じゃあまた後で」
俺はそう言って、自分の席に戻った。
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