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四時間目が終わり、昼休み。俺は筋肉天使ともう一人の男、そうだな、ここでは山田一(やまだひとし)と呼んでおこうか、と弁当を食っていた。 「それ本名じゃねーか」 ものすごく簡単な名前の男が卵焼きを箸でつかみながら言う。 「ふーん」 俺はスルーした。 「ところで、この街に魔法少女がいる話を聞いたことがあるか?」 「ねーよ」 筋肉天使が煮豆を食いながら言う。 「あるいは美少女戦士でもいい、知らないか」 「女の子が降ってくるといいな」 山田が言う。 「まじめに聞いてんのに」 俺はふりかけご飯を箸で掘り起こしながら拗ねる。 「そんなことをまじめに聞いているのなら、おまえはとうとうおかしな世界の住人になったってことだ」 「そうかもしれん」 実際は、この世界がおかしなことになってるって気付いただけなんだが。 「さて、食後の運動をしてくる」 筋肉天使がそう言って、弁当箱をしまって立ち上がる。 「いてらー」 とりあえず、西野友佳が戦闘ヒロインであることは予想通り有名ではなかった。
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