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「疑ってますか」
「いーや」
部長は物憂げに、机の上に投げ出した腕の指先で机を軽くつついている。
「うわさは聞いてる」
「マジすか」
俺は飛び起きた。もしかしたら、筋肉天使や総画数九画男が知らなかっただけで結構有名なのかも。
「ある人曰く、この街には戦闘ヒロインがいて、悪の集団と戦っている、と」
「詳しく教えてくれませんかね」
「よかろう」
部長は顔を上げた。
「その前に、あんたが見た戦闘少女の特徴を言え」
「うちの女子生徒でした」
部長はふーん、と言って、
「じゃあうわさ通りだ」
マジかよ。
「まあ、詳しいことは知らん。この町に戦闘ヒロインがいるらしい、そいつはうちの生徒らしい、という事がちょっとだけうわさになってる」
「あれだけ目立つ行動してて噂はちょっとだけかよ……」
結構な奇跡じゃないか?
「さあ、そんなことより昨日の続きだ」
「ああ、Bパートアイキャッチ後のコンテですね」
本当は絵しりとりだが。
「馬鹿。わたしたちはいつからアニメ作ってたんだ」
「あさってですかね」
「じゃあ、あさって、いや、あさっては休みだから月曜から作業に入ろう」
「なんの?」
「アニメ作るんだろ」
「はあ」
冗談なのに。
「アイデア出せ。月曜日までに。これにて本日の第二美術部の活動は終了。そして明日は休みにする。ではまた月曜日に」
立ち上がり、かばんを肩に引っかけた部長は「あでゅー」と言い残して美術部を退出した。
冗談だったのになあ。
しかたない、俺も帰ろ。
アニメのアイデアかー。やっぱロボアニメがいいな。
俺は下校を始めた。
そういえば、朝には「また後で」とか言ったのに友佳としゃべってないな。まあいいや、明日で。
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