0人が本棚に入れています
本棚に追加
その十数分後。
下校中の俺は変なお姉さんに出会った。
車が通れるか怪しい、住宅地のクソ狭い十字路のど真ん中で、金髪と茶髪の中間みたいな毛色の女性が地図を片手にうろうろしている。
俺は考え事をしながら歩いていたため、5メートルくらいに近づくまで気付かなかった。
「あー。道に迷っちゃったなー」
声が聞こえたので顔を上げる。
思いっきり目があった。俺は速やかに視線を反らした。さっきのセリフはひとりごとではなく、俺に向かって言ったものに違いない。
今、俺の前には三つの選択肢がある。
一、無視して進む。
二、まわれ右して逃げる。
三、話しかける。
……よし、逃げよう。危険な香りがするからな。
まわれ右をしたその時、
「少年。綺麗なお姉さんが困ってるんだから助けるのが男だろ」
肩を掴まれた。
くそ、もっとまわりに気を配りながら歩くべきだった、と後悔したが、もう遅い。
「自分で綺麗なお姉さんっていうなよ……」
俺は小声で呟きながら、自称「綺麗なお姉さん」へと振り返った。
前言撤回。マジ綺麗なお姉さんだった。
身長は170cmくらいだろうか。ハイヒールを履いているので今はもっと高い。体型は、一言で表すならナイスバディだろう、うん。詳しくは描写しないけども。服装はオフィスレディ風だが、OLらしい雰囲気はみじんもなかった。OLのコスプレをしているような雰囲気。細い黒ぶち眼鏡が理知的な印象を強め、顔立ちも芯の強さがにじみ出るようなオーラをにじませている。ふむ。文句無しで綺麗なお姉さんです。正直理想のタイプです。
最初のコメントを投稿しよう!