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夕食を調達するためのコンビニで、友佳に会った。 なんだろう。昨日に続いて今日も偶然会うことになるとは。珍しいこともあるものだ。 ちょうどいいや。朝の話の続きをしよう。 「よっす」 「ん、斉藤か」 友佳はペットボトルのお茶を買うようだ。 「朝の話の続きをしたいのだが」 「どうぞ」 俺たちはレジに向かう。 「それ、こっちよこせ」 友佳からペットボトルを奪うと、俺の弁当と一緒に会計する。 「おまえはわたしの彼氏か」 会計を済ませ、友佳にお茶を渡したらそう言われた。 「いや、幼なじみだ」 と返す。 「イグザクトリィ」 と友佳は言った。 コンビニを出る。日は沈みかけていて、ジャスト夕方だった。 なんで友佳がコンビニに来ているのか尋ねようとしたら、 「今から行くところがある。その話に関係あるところだし、詳しく知りたいならついてくるといい」 と言われた。もちろんついていく。 「どこに行くんだ?」 「博士の家」 「博士とな?」 「あのナイフを作った男。武器担当ってとこ」 おおー。なんか特撮っぽい設定だ。戦闘ヒロインと、それを支える武器担当の博士。やっぱり小太りのおっさんが鉄板だろ。もしくは綺麗な、ちょっと年のいったお姉さん。 「あのナイフ、えーと、なんとかソード」 「シャクティソード。相手を傷つけることなく、ショックを与えることで戦意をそぐための武器」 「ああ、だから特撮みたいに吹っ飛んだのか」 「そう」 友佳は商店街へと進んでいった。方向からすると、商店街の中でも古い店が並んでいる区域に行くつもりのようだ。 「博士は店でもやってるのか」 「電化製品の修理屋らしい。開店してるの見たことないけど」 「へえ」 夕日で赤く染まる木造の店が両脇に並んだ道。たまに通る軽トラ。自転車でゆっくり走るおばあさん。ジャージ姿の中学生。なんともノスタルジックな光景である。 そして、 「ここ」 友佳が立ち止まる。
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