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友佳がナイフを投げ、インターフォンに刺す。ガン、と音がして火花が散る。友佳怖え。俺は恐怖を上塗りされ、動けない時間が延長された。 「斉藤のことは後で話すから、とりあえず玄関開けて」 「かしこまりました」 割れた音でそう答えがあった。 はたして、玄関は開いた。ぼろい引き戸に見えるが、どうやら実際は違うようだ。ガチャガチャと数種類の錠が解除される音がしたし、自動で開いた。 「斉藤」 友佳に声をかけられた。 「なんだ?」 呆然としながら答える。 「お弁当」 「ん?」 見ると、地面に落ちたコンビニ袋から、無残にも踏みつぶされた弁当が見え隠れしている。踏んだの、絶対俺だよな。だが原因は博士にあるはずだ。 「とりあえず、博士に弁当代を請求しよう」 脱力して、俺は動けるようになった。 ナイフを構えたときに友佳が落としたお茶を回収し、友佳に渡す。友佳はふたを開けてごくごくと半分くらい一気に飲んだ。 「あー、びっくりした」 友佳が言った。 「その割には平然と動いてたような」 俺が言うと、 「場馴れだね」 と言った。そうか、一応戦闘ヒロインを一ヶ月やってるんだもんな。 「まったくピスティルも融通が利かなくて困る」 「ピスティル?」 「さっきの声の子」 ああ、あの読み上げソフトみたいな声の。
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