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こんこん、とドアがノックされた。
友佳が立ち上がり、ドアを開ける。誰もいない。首をかしげる俺たち。
かさかさかさー! 友佳の足元を、銀色に輝くもさもさしたものが駆け抜けた!
「ひゃあ!」
珍しいことに、友佳が悲鳴を上げた。こんな表情の友佳を見たのは久方ぶりだ。
そのもさもさしたものは、強いて言うならサイボーグと化した糸くずだった。何を言ってるかわからないだろうが、俺にもまったくわからない。
「なんだこりゃ」
ゆらゆらと動く糸くず。生き物ではなさそうだが、機械でもなさそうだ。本当になんだこりゃ。
「BEAM-テヅルモヅル君バージョン1.2だよ」
男の声がして、ひょろっとした長身の青年が姿を現した。
博士だ、と友佳が教えてくれる。
「君が斉藤君だね。ピスティルがとんだ無礼を」
博士が俺に言いながら、手錠を外してくれた。
「無礼ってレベルじゃないですが」
殺されかけたよ、何度も。
しかし博士というのにイケメンの男って。俺の博士像から程遠い人物だった。
「友佳ちゃんのアシスタント希望だっけ?」
「いや、違いますけど」
「ちょうど敵も強くなるし、このあたりで戦闘員が増えるのもいいかもねえ」
俺の話を聞け!
「そうですね。役に立ちそうもないですが」
友佳が言う。おいおい聞き捨てなら無いなあ、その言葉。俺だってやればできる子だ。誰にも言われたこと無いけど。
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