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「ところで君。このテヅルモヅル君のことが気になって仕方ないって顔をしてるね?」
いや、してませんよ。
「このテヅルモヅル君はね、BEAMロボット、つまりBiology, Electronics, Aesthetics, Mechanics Robotと言うんだけどね、とてもシンプルなロボットなんだ。この系統のロボットにはね、脳がないのさ。ナーヴァスネットワークって言うんだ。つまりね、考えないわけ。だから動作は速いし、本能で動いてるような動きを見せてくれるんだ。ある人は、こういったロボットを砂漠に大量に放してね、生き残った奴を月の探索に使おうとしてるんだよ、と言っても僕がその資料を読んだのはかなり前だし詳しくは知らないけどね。でも夢があるだろう? このテヅルモヅル君は、新しい歩行の可能性を見付け出したんだ。こういう神経網だけで動いてるロボットの挙動は楽しいよ、美しいしね。アメンボ型の奴とか、何でもいるよ。一本足も、八本足も。生物の動きをロボットにさせようとしてるんだしさ、やっぱり生物っぽいのがいいよね。僕が最初に作った奴はアリ型だったよ。それでね、このテヅルモヅル君は、特殊なカメラを持ってる。紫外線、可視光線、赤外線からα線、β線、γ線、X線まで見れるんだ。すごいだろう? でも中性子は見れないから、僕もまだまだだよね。それからね、今作ってる陽電子スプレーガンなんだけど、これが中性子を使うんだよ。聞きたいだろ?あ、でもテヅルモヅル君の話をしてたんだったね。ごめんごめん。でね、このテヅルモヅル君は生きるためにロボット三原則を組み込まれてる。アシモフじゃないよ、A machine must protect its existence. A machine must acquire more energy than it exerts. A machine must exhibit directed motion. 簡単に言うとさ、ロボットは自分を守らなければならないとか、より多くのエネルギーを手にいれるよう努力しなければならないとかだよ。アシモフじゃやっていけないのさ。それと、まだ調整中だけどピスティルは、完全になれば全ての御奉仕に対応する予定だ、それこそ、日常のこまごまとした雑用から夜の」
コン、コン
博士の言葉を遮るように、ドアからノックの音が。助かったー!
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