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五限の数学が終わり、いつものように部室へ向かった。そこでいつものようにだらだらと何もせずにすごし、先輩との絵しりとりが終了したところで帰宅することにした。ちなみに俺は美術部である。 そしていつものように1人で帰ろうとしていた。ここまではいつも通りだったんだ。 そう、ここでいつもと違う事が起きる。 「あれ、友佳じゃん」 「ん、ああ」 そいつはこちらを一瞥し、スピードをまったく変えることなく歩き続ける。 背は普通で、俺とは頭一つ分、とまではいかないくらいの身長差がある。結構整った顔立ちをしていて、黒髪ロングが綺麗な子。 名前は西野友佳で、俺のクラスメイトかついわゆるひとつの幼なじみだ。 「今日部活は?」 スピードを合わせながら尋ねる。 「顧問が出張とかで早く終わった」 「そのわりには帰る人数が少なくないか」 友佳は女子卓球部に所属している。女子卓球部はこの高校のメジャーな部活のうちのひとつなので、それが早く終わったのであれば結構な人数が下校するはず。 「ふむ。確かにそうだね。わたしは集団に巻き込まれたくなかったんだ。だからしばらく図書館で時間をつぶしてから下校し始めた」 「嘘つけ」 「なんと。わたしがいつ嘘をついた」 「今だよ、今」 ふふっと笑う。昔からそうだったが、友佳が何を考えているのかはわからない。だが友佳は友達も多くて、変な性格をしている割には社会性も持っているようだ。
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