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「そうだな。わたしがかの有名な魔法少女でまちがいない」 「有名じゃないだろ」 俺は即座に突っ込んだ。 「そうか。あれだけ派手に戦ってるのにやはり有名じゃないのか。不思議なこともある」 歩きながらたませんを食べている友佳が言う。 ちなみに、たませんというのは黄身をつぶした目玉焼きをえびせんべいに挟み、お好み焼きのソースをかけた食べ物だ。天かすや、焼きそばを入れることもあるようだ。せんべいがパリパリな内に食べるのもおいしいが、具の水分を吸ってしんなりとなったせんべいの食感もたまらない。俺はどちらかといえば後者が好きだ。ローカルな屋台メニューで、この地域の学校の文化祭では、必ずと言っていいほどたませんを売る模擬店が出店される。事実、俺の通う高校の文化祭でもたませんの模擬店はあった。 そして、たませんを売っている店も結構ある。俺たちが家に帰る順当なルートからは決して近いとは言えない距離だが、交差点を挟んでコンビニと向かいになっている小さなタコ焼き屋のたませんがとても美味で、友佳はわざわざ寄り道して買ったのだった。 「突っ込めよ」 「ん?」 たませんを食べながら歩いている友佳が疑問を浮かべた。無表情に仕草だけで。 「まず『おまえが魔法少女である』ことをまず突っ込むべきだよな。そこをあえて俺は『おまえが有名かどうか』という些細なことを突っ込んだ。わざとツッコミどころを外したのだよ。そう、これはツッコミのように見えるがボケなんだ。わざとずらしてツッコミを誘ってるんだ! 気づけよ! こういうのはツッコミが命なのに!」 「ふむ」 友佳は一考の後、 「なんでやねん。ツッコミどころがちゃいますがな」 と言った。 「関西弁使わなくてもいいぞ、別に」 「ほう」 友佳はたませんを食べながら歩きつつ、うなずいた。
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