プロローグ

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宇宙人のおっさんに会ったときは、そういう変人に出会うのが初めてだったこともあって、 「う、宇宙人!?」 と叫んでしまい、おっさんに追いかけられた。俺は必死で逃げたが、小学生の足では逃げ切れず、追いつかれてしまった。アブダクションでもされるのかとおののいていた俺だったが、そんなことはなく、 「君、面白いねえ」 と言われ、 「将来、必要になるかもしれないからあげるよ」 と、クレジットカードのような銀色のカードを貰った。 そのままそのおっさんは立ち去ったのだが、俺は小一時間は固まっていた。 そのカードは落としたり投げたりしても手元に帰ってくるという不思議な性質を持っており、怖かったので近くにあるお地蔵様の前の地面に埋めた。 それからも度々「未来人」「異世界人」「超能力者」「サイボーグ」「クローン」など、よく分からない肩書きの人物を見かけることはあったが、俺は無視し続けてきた。そういえば一度、「着せ替え人形」という肩書きの女の子がいたけれど、あれはなんだったんだろう。 そんなことはどうでもいい、いや、どうでもよくないが今は置いておく。今俺は未だかつて無い危機にひんしているのだ。 宇宙人のおっさんや未来人の女の子や異世界人の男なんて目じゃない。 今日は高校生活最初の日、つまり入学式。期待と不安の入り混じる楽しい時を過ごせると思っていたのに、大きすぎる問題が発生していた。 俺のクラスには変人しかいない。
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