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その空間は不気味なまでに静寂に包まれていた。
一人の男が、何かを床に刻んでいく音以外は。
日の光も射し込まない程の暗い部屋で、蝋燭の火だけが辺りを照らしている。
「もうすぐだ……世界に災厄を……ククク」
不吉な言葉を吐きながらも、男は手を休める事はない。
「そして世界を――」
恍惚とした表情を浮かべ男は呟く。
後に大陸を揺るがす事になるのを知りつつ、それを望む様に。
「――我が手に」
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