1151人が本棚に入れています
本棚に追加
『あなた誰?』
琴音は相変わらず無表情で聞いた。
「“セイ”って言うの!」
琴音とは反対に、明るい声と笑顔で少年―セイは言った。
少年が唯一暗い部分を持つと言ったら、烏の濡れ羽色をした髪だろうか。
彼の髪は周りの白に酷く浮いていた。
『あっそ。何の用?』
「冷たいな~、酷いよ」
言葉とは裏腹に、笑顔で返すセイ。
琴音とセイ。
二人とも琴音は整った、セイは可愛い顔立ちでお似合いだが、回りの空気の差が激しい。
(この子のせいで2分遅れてる…)
琴音は、 一日のスケジュールが分単位で決まっている。
まるで操り人形みたいに。
その時間に遅れそうで、琴音は早くセイとの会話を終わらせたかった。
「ねぇ、琴音ちゃん。」
『何?早く言って。』
「今の生活から逃げたい?」
最初のコメントを投稿しよう!