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「さて、恐らくここにいる皆は、ここに連れてこられた理由も、これからどうなるのかも分からないだろう。だから、簡潔にその部分だけ伝えようと思う。皆、披暴行者擁護法……通称、BOX法……これについては知っているか?」
ただ突然連れてこられたこの状況で、知らない男に問われたことなんて、誰も答えないだろう。
それはごく普通のことだし、男もそうだろうと考えていた。
「はーい。確か、いじめられている人を政府で助けよう! とか、そんな感じだよね!」
だからか、元気な声で微妙に違う回答があったとき、男は一瞬鳩が豆鉄砲くらったかのような顔をした。
「あ、あぁ。厳密にはいじめられてる人には限らないから違うが、概ねその通りだ。しかし、驚いたなぁ。まさか答えてくれるとは思わなかった。」
えへへっ。
そんな声が聞こえるかのような、わかりやすく照れた仕草。
「これは、今実際には適用されておらず、まだ可決されただけ。今答えてくれた子以外にも、ここまでの情報も知ってる子は少なくないだろう。」
男は、できるだけ丁寧に、極力恐怖心を持たれないようにゆっくり、回りくどく説明をしていた。
「回りくどいわね。それだけ説明すれば、大体ここに集まった理由はわかるわ。ようは、私たちはテストケース……そうなのでしょう?」
その、出きるだけやわらかく説明しようとした努力を一蹴したのは、さっきとは別の子だった。
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