此の門を潜る者、戻る事望むなかれ

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「その通りだ。君達……いや、君達だけではないんだが、ここにいる皆はいじめられているだけには限らず、何等かの事情をかかえ、社会に溶け込めてない者ばかりで、このクラスは政府がそういう子達を集めたテストクラス……というわけだ。」  そう話した瞬間、クラスはどよめき……なんていうものはなかった。  周りには一緒に騒げる仲間がいない人が集まっているのだから、当たり前といえば当たり前だろう。  ただ、さっき明るかった子や回りくどい説明をばっさり斬った子を含め、大小はあれど驚き、呆然とした表情を皆がしていることを、教壇の男は分かっていた。 「だから、申し訳ないが、皆の意志に関わらず……例えば誘拐だと騒いでも、国が通してるからどうにもならない。そもそもここは無人島だから、警察、なんてものもいないんだがな。」
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