最後のサンドイッチ

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翌日も、いつもの如く川口さんに何が必要か、どうしたら身体が楽になるか…と考えて病棟に向かった。 いつも、私がくるのを待っている川口さんはいなかった。 ベッドはまっさらに整えられたシーツがかかり、病室は冷たい空気が流れていた。 川口さんが夜中に急変してそのまま亡くなったこと、そして「昨日、学生さんが買って来てくれたサンドイッチは、とてもおいしかったんだ」と、急変する前に夜間ラウンドすると川口さんが昨日の出来事を、たくさん話していたこと夜勤の看護師が教えてくれた。  かなりひどい末期がんだった川口さんの解剖に、学生の私が立ち合わせてもらうことになった。 身体の中はがん細胞に侵され、痛みがかなり酷かったはずだと。でもその痛みを和らげていたのは、毎日くる学生がいたからだと。数週間ごとに様々な学生が看護をすることで、日々看護師とはできない話をしたりすることで気分が紛れていたのだ。 私たち看護学生は、患者さんによっては、あまりいい顔をしない。 でも、少なくとも川口さんにとっては役に立っていたのだ。 あの美味しそうにサンドイッチを食べる姿が、脳裏に焼き付き、涙がでそうだった。 病棟では泣かない…そう決めていたから、悲しい気持ちをこらえて天井を仰いだ。コンビニに立ち寄ると、サンドイッチが目に入る。どこにでもあるサンドイッチだが川口さんのあの笑顔を思い出し涙が出る。 そして、患者さんに何がしてあげられるか考えていた日々を思い出して、また今日も頑張ろうと思う。
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