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人懐っこい笑顔でお礼を言う男の子に、つられて笑顔を返していた。
「…家近くなの?」
「あ、うん。引っ越して来たばっかりなんだけど…」
「そーなんだ。僕の家も近いんだ。」
「春斗~!ボールまだ~?」
一緒に遊んでいた男の子達に呼ばれて、振り向くと、持っていたボールをそっちに投げた。
「ごめ~ん!」
まだ戻る気が無いのか、またこっちを見た。
「僕、香上 春斗。また会えたら遊ぼうね!」
「あ、うん…。私、早川 あずみ…」
おずおずと名乗ると
「あずみちゃんだね!じゃあまたね!」
確認するみたいに私の名前を呼んで、友達の元に走って行ってしまった。
「春斗くん…」
残された私は、一人、彼の名前を呟いた。
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