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「あー、ごめん。これ受け取れない。」
「えっ?あ、うん……。
え?でも…花保ちゃんだよ。断っちゃっていいの?」
嫌だと思っても、クラスで一番可愛い女の子からの告白なのに簡単に断っていいのか、気になって聞いてしまった。
私のバカ!
「ん?興味ない。」
私の質問にあっさり答える春斗は、少し不機嫌だった気がした。
「いいや、俺自分で返すから。」
一度私に差し出したラブレターを持ち直す。
「…春斗くん。何か…怒って…る?」
「…別に。
あずみ………の?」
最後の方の声が小さくて何て言われたのか聞き取れない。
「えっ?聞こえなかった。もう一回言って」
「……いや、何でもない。」
春斗はそのまま行ってしまった。
何て言ったの?
春斗の悲しそうな顔が頭から離れなかった―――。
あずみにとって、俺ってそんなもんなの?
春斗の口からこの時の事を聞くのはそれから6年後になるとは、この頃は思ってなかったけれど。
。
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