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「いってきまーす。」
いつもより早く支度が済んだから、早めに出たのがいけなかった…。
「あずみっ!」
嫌なヤツの声がした。
「……」
「久しぶりっ、元気?」
「……」
黙ったまま歩き出す。
「相変わらず無愛想だな~。」
いくら無視しても気を悪くする事もなく、ついて来る。
「前も言ったけど、合コンしよっ!」
きたきた…。
「だって、幼なじみが、可愛い子の集まる桜岡に行ってるんだよ。合コンするしかないよね?」
バカ?
あんたと同じ高校行きたくなかったから桜岡にしたんだよ。
春斗の声が大きいから行き交う人がチラチラ見てく。
「あずみも彼氏欲しいでしょ?カッコイイやつ紹介するからさ~」
私は何も言わずに睨みつける。
「ね、ね、お願い。」
顔の前で手を合わせて拝む。
「嫌だって言ってるでしょ?」
冷たく言い放つ。
「何で嫌なの?じゃあ、まず誰か紹介してよ。その子に頼むから」
「もぉ、分かったっ!紹介でも合コンでもすればいいんでしょっ!」
言い捨てて走って逃げた。
春斗のバカっ!
人の気も知らないで!
いつまでも、こんな女好きを好きな私が…大バカ…。
───。
「あずみー。どうしたの?眉間にシワなんか作っちゃって」
放課後、同じクラスの香苗に眉間をマッサージされた。
今日一日、ずっとこんな感じだった。
春斗のバーカっ!
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