素材探し

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レイは予想以上の重さに耐えながらも一度宿屋の外に出て、最初に来た人気のない雑木林の少し開けた場所迄行き、腕立てや腹筋、背筋、スクワット等基本的なトレーニングをやり始めた。 「も、無理… これ、各50回なんて、死ぬぅ、死んじゃうぅ…」 弱音を吐きながらも決して妥協せず、生き残るために、死なないためにレイはひたすらトレーニングを続けた。 「ハッ、ゼハッ!終わった~」 ゴロンと仰向けになり、息切れしている呼吸を整えながら雑木林の隙間から見える夜空を見た。 「すっげぇ…」 絶句。その言葉がぴったり合うほどレイは言葉が出せなかった。 見上げる夜空はスモッグで汚れた地球等とは全く違い、透き通るような美しい満天の夜空だった。 「すげぇな…こんな空あいつにも見せてやりたかったな」 呟きと同時にレイの目から一筋の雫がこぼれ落ちた。その雫はどんどんと溢れてくる。 「くっ…ウッ、ウッ、畜生ぉなんだよ…止まれよ。泣くなよ、何なんだよぉ…」 拭っても拭っても溢れてくる涙にレイは声を押し殺しながら静かに泣いた… 長い間泣き続け、漸く落ち着いたレイは暫くぼーっと夜空を眺めていた。 「生きよう、この世界で…苦しくても、辛くても、諦めずに生きていればきっと楽しいことが沢山ある筈だ。俺はぜってぇ諦めねぇ!見てろよ、これからこの世界に俺の名を轟かせてやる!」 静かに強くレイは自分自身に誓った。
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