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「はい。大学には行かないですから」
「なんだと!!その理由を聞かせてもらおうか」
「僕の家は貧乏なんで大学に行くお金が無いんですよ。先生も知っているでしょう」
本当のところ、進学するためにこの学園に来たわけではない。
野球を続けるために入学したのだ。
「ああ、知っている。たが、奨学金を取る手もあるぞ」
「いえ、この学園の学費を払うだけでも精一杯なんです。時代の流れでどうしても畳は売れないんですよ」
この文月学園は私立だけど、全国からスポンサーが就いているから入学金も学費も他の私立よりも大分安かったんだ。
それにしても俺達にとって安くはなかったけど。
あと制服は結構高かったな。サイズによって代金が変わるからキツかったな。
「そうなのか…」
「あと、僕には夢があるんです。プロにいくことなんです」
「プロか。成る程、他の奴がそんなことを言ったなら俺は全力で止めるが、お前なら行けるだろうな」
「ありがとうございます。まあ、プロ入りが出来なかったら畳屋を継ぎますよ」
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