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東京、廃人街。
かつては渋谷と呼ばれ、若者の街と隆盛を極めていた街。
しかし、過去の大きな出来事がそれを大きく変え、廃人と呼ばれた者達が住む街へと変貌。
文明を極めた建物の数々が、無惨に破壊され、街そのものが死んでいた。
その瓦礫の山に、一人空を見上げている少年が一人。
「今日も、悲鳴が轟いてるんだろう」
少年の瞳は、どこか悲しく、そして震えていた。
涙を流すことも、無く。
ただ青い髪を風になびかせながら、世界を感じる。
「おい、冬牙!こんな所に居ると女共に殺されるぞ!?」
冬牙 ≪トウガ≫ と呼ばれた少年は、慌てて駆け寄る男を見据える。
「晃さん、今日もこの空に漂う声を感じていたんですよ」
晃 ≪アキラ≫ と呼ばれた男は、線が太く、いかにも堅そうな胸板が目を引く。だがその体付きは、味方にとっては頼もしさを感じさせる。
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