「機械の魔人」

8/15
前へ
/70ページ
次へ
見事に作戦は的中し、何ケ月もかけたこの反抗作戦も、ものの数秒で崩れ去った。 そればかりか女共に復讐するどころか、逆に滅ぼされるなどど実に皮肉ゆかしい話。 「ぐうう、このままじゃ、みんな殺されちまう」 非力さを痛感したからなのか、もしくは今の状況が想像したくない事実なのだろうか、唇を強く噛み、晃の口からは血が流れる。 「おい、冬牙!お前だけは逃げろ」 「何でですか?この状況では逃げろと言われても」 冬牙の思いは、図らずも的中したのだ。 絶対勝てない戦いだと言う事を。 やる前から勝負は見えたていた、何故なら圧倒的な物量さと兵器の性能の差があったからだ。 物量では言うまでなく、女性側。 兵器で言うならあちらは最新鋭のエネルギーライフルを主体にした装備。 こちらは30年前の実弾で、到底相手の戦闘服をも貫通出来ない。 最早、勝負にもならないが、長年の虐げられた時間がそうはさせなかった。 憎しみは時として判断をも鈍らせる。 彼はそれを切実に分かっていたからこそ、今回の戦いを素直に喜べなかった。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加