一章  七月一日

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 「うん?ああ、青空はまったく知らないんだったな。星のことも、僕のことも…」  星が顔を少し赤くしながら 「私のことは灯ちゃんって呼んでいいよっ」とか言ったが無視する。何言ってんだコイツは……。  「えーっ!てっきり、そう呼びたいから、あえて一回目は苗字で言っておいて、本人の許可を得て二回目からは、仕方ないなーみたいな雰囲気をかもしながら灯ちゃんって言うのかと思ってたから……」  そんな計画的変態いねぇよ。  「えっ!そうなのか!?夜空君、それは変態だぞ」  ちくしょうめんどくせぇ!星がニヤニヤしながら僕の方を見ている。あ、あいつハメやがった。  と、まあそんな感じで話が進み、青空は星と僕のことを知った。  「実はね、私も分からないの」  星がこう切り出す。何の話だろうか。  「この【質問応答世界】に何故夜空君が解答者として選ばれたかだよ」  「それは…つまり…。どういうことになるんだ?」  「はぁ、夜空君は何にも知らないんだね。私が言いたいのは、君がここにいる理由なんて全く存在しないってことなんだよ」  「??」――だからその理由を教えてくれよ。  「いい?本来この【質問応答世界】は、その人の中に眠る【能力】を調べるために行うゲームなんだよ」  「……………なるほどねぇ」  「はぁ、まだ分からないの?夜空君はもう、君で言う【全平均】という【能力】で調べがついてるんだよ。隠された力があるわけでもなく、ただ【平均】っていうことでMAXな君は、このゲームを行う意味が最初からないってこと」
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