一章 超常と温もり

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その奇跡から…とんでもない出会いから数ヶ月経った4月 俺は都心から相当離れた郊外の山の麓に居た。 今日、入学式を迎える巴大付属高校はそこに構えているからだ。 しかし…一応は都内なのにあり得ない程にデカイ。 まぁその理由も有るがそれはすぐに分かるだろう。 校門の前ではフェレスさんが立っていた。 俺に光を、奇跡を見せてくれた恩人、[悪魔]のフェレスさんが。 「待っていましたよ誠君。今日からはこの学校の生徒、様ではなく君で呼びますので。」 「その方が助かります。フェレスさん」 あの時は見せれなかった笑顔で返す俺、フェレスさんも笑顔で答えてくれた。 「それは良かった。入学生は君で最後、もうすぐ入学式が始まります。」 そう言って体育館に案内される。 既に校内だが広すぎるので車で移動だ。 その間にフェレスさんに聞くと入学者数は300人だとか。 多いのか少ないのかはさっぱりだけど。 「着きましたよ。ここが体育館です。」 結構広い体育館だ。 この中に他の施設もあるんじゃないか? 中に入り席に案内されると同時に入学式が始まった。 『学校長より挨拶。』 アナウンスが流れると、かなり威厳のありそうな老人―フェレスさんよりも歳だろうか―が壇上へ上がった。 「諸君、入学承諾をありがとう。巴大付属高校校長を務めるゼウスじゃ、名前で分かると思うがワシは[神]、じゃからと言ってそう堅くならんでもよい。」 誰もが知ってるような存在もこの学校にいるのか、でもゼウスって最高神じゃなかったか?そんな人が付属高校の校長って…。 色々と校長らしい長い必要かどうかも分からない事を続ける校長。 そしてこの学校の存在意義ともなる事に触れた。 「諸君らを含めこの学校に在籍する生徒は皆、家族を失っておる。今もその苦を背負い悲しんでおる者もおる。それに様々な種族の者も。この巴大付属高校は諸君らの新たな家であり、在籍する生徒職員は皆家族じゃ。皆が背負うた苦を、ワシらと共に支え合い、暮らして行こう。」 そう、コレがフェレスさんが俺の所に来た理由。 種族や色々な事を超えた超常の始まり。 俺の新しい家族の誕生だった。
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