第3章 訓練=死亡フラグ

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 良いことがあると、その分悪いことも帰ってくるっていうけれど、僕の場合悪いことがあると更に百割増しされた悪いことが乗っかってくる。笑えない。笑えないねぇ。僕は笑うけど。自分の哀れな人生すらも嘲笑って見せるけど。  まあ、常識的観点から見ればそれは、自殺するに値するものであるのだろうけれど、僕はアレだ。自殺しようとしている人間がいたら僕が殺して他殺にするような人間だから。  自殺なんて絶対にしない。他人に殺されるなんてまっぴらごめんだからね。僕は女の子を助けて死ぬっていう目標があるから、そんなことしてる暇も無いし。  ……とまあ、冒頭から意味が分からないかもしれないけど、これから語られることで、状況判断でもして。  院瀬見 馴染は窮地に立たされていた。四月五日、エレン・アスターガとの模擬試合から一日が経過したこの日の朝、一般的高等学校の登校時間に教室へと足を運んだ馴染に、厄災が訪れたのである。  馴染が教室に足を踏み入れた瞬間、顔の真横を、目に見えない早さで拳が通り過ぎた。当然の様に反応出来る訳が無い馴染の額に、一筋の汗が流れる。 「えっと、君はあれかい? 七つのボールを集める物語における戦闘民族かなにかなのかい?」  馴染の目の前にいるのは、鬼の形相で睨み付ける女。  束ねられた長い黒髪。小動物なら睨み殺してしまいそうな程の鋭い目付きに、この施設特融の制服を身に着けた、長身な体。  リザ・エイブリーその人である。 「死ね」  リザの猛攻は続き、馴染は何とか横に逸れて教室内へと逃げ込むも、リザの攻撃が止むことはない。  何故こんなことになったのか。その理由を知る為には、四月四日。昨日の模擬試合後まで遡ることが必要となる。
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